口腔外科とは?
虫歯や歯周病の治療を除く、口内や、その周囲の疾患を対象とした外科処置の診療科です。顎関節症や親知らずの抜歯(埋状など難しいケースの抜歯も含む)、抜歯した親知らずを利用した、歯牙移植など行なっています。
顎関節症
関節症(がくかんせつしょう)とは?
顎の関節周りが何らかの原因により、顎が鳴ったり、痛みや口が開かなかったりと、機能低下が起きることです。
肩こり、頭痛、難聴、めまい、食欲不振などの症状が出てくることもあり、生活にも支障をきたします。
生活習慣病的な部分が大きく、歯ぎしりや、偏咀嚼など悪習癖などを取り除く、患者さま自身によるセルフケアが治療の中心になります。他には薬物療法や、原因となる噛み合わせ矯正、関節腔内の洗浄、内視鏡下での外科的手術などの方法で治療を行うこともあります。
自己管理に必要な項目
- 歯ぎしりや食いしばりを避け、安静時に歯と歯の間を接触させないこと
- うつぶせ寝や頬杖を避けること
- 舌を突出させる習慣をやめ、爪や鉛筆を噛まないこと
- 下顎を圧迫したり、顎を後方に押したり、顎を緊張させるような楽器を演奏しないこと
- 温湿布を使うこと
- 筋肉をマッサージすること
- 2横歯(指2本分の太さ)以上の開口を避けること、あくびなど
口腔内装置の役割として、顎の位置を調整すること、顎の筋肉をリラックスさせることなどを目的とします。
現在、顎関節症や口腔内顔面痛に対して大規模な研究が行われています。
つまり顎が痛いのに矯正治療や全ての被せものを変えるといった元に戻せない治療は推奨されません。
顎関節症の治療は身体への侵襲が少なく元に戻せる方法が主流です。
顎より歯が痛い場合TCHが考えられます。
TCHとは?
ところがパソコンをしているとき、テレビを見ているときでも上下の歯を接触している方がいます。人間の筋肉は少し上下の歯が触れただけで口を閉じる筋肉が動いてしまうのです。
ですから長時間上下の歯を付けたままにしておくと、筋肉が常に緊張して筋肉トレーニングをしていることと同じことになってしまい、顎関節に負担が生じ正座をしてしびれた時のように、感覚が鋭くなって痛みを感じやすくなってしまいます。
このような上下の歯を常に接触させる癖をTCH(tooth contact habit)といいます。
TCHによっておこる症状
- むし歯がないのに歯が痛い
- 知覚過敏が強い
- 顎が痛い
- 口があかない
- 歯が欠けてしまう
- 歯が揺れる
- 舌に白い歯の跡ができている
- 頬粘膜にも白い跡がある
などの症状が現れます。
いままでは夜間の歯ぎしり食いしばりが顎や歯の痛みを引き起こすことはわかっていたのですが、昼このTCHによって同様の痛みを引き起こすことがわかってきました。
治療法としては夜間のマウスピースも有効ですがそれ以上に日中上下の歯をふれさせないことが重要です。
実際にはテレビ、パソコン、冷蔵庫などよく見る場所に「歯をはなす」とかいたポストイットを張ったりするのも有効です。
顎の本来の安静の状態を保てれば顎、歯の痛みから解放され歯が割れたりすることもなくなります。
親知らずの抜歯
親知らずとは?
前歯から数えて8番目の歯で智歯ともいいます。
他の歯と違い生えてくるのが20歳前後と遅いことが特徴です。
現代人は進化の過程で顎が退化し小さくなってしまったため、きれいに生えるスペースがなくなってしまい、ほとんどの場合斜めに生えるか埋まってしまいます。
ただし親知らずは絶対に抜かなくてはいけないというわけではなく、残しておいた方が良い場合もあります。「親知らずは=抜かなくてはいけない」というイメージが蔓延していますが、必ずしもそうではないことを認識して頂きたいと思っています。
スマイルデンタルクリニック世田谷では抜く、抜かないの判断も含め親知らずに関する相談を承っております。
親知らずを抜いた方が良い場合←悪い親知らずを抜くのは究極の予防歯科です。
- 歯肉の炎症を繰り返している
- 斜めに生えてきてしまっている
- 手前の歯を虫歯にしてしまっている
- 歯並びを悪くする可能性がある
などが悪い親知らずです。
まっすぐ生えていてしっかり磨ける場合や骨の中に埋まっていてレントゲン上で悪さをしない場合は抜かずに残すこともあります。
親知らずは移植しとして使える場合があります。
手前の奥歯が何らかの原因で失われる場合、親知らずを手前に移植することができます。
歯科用CTと親知らず
顎骨内にある親知らずの位置を立体的に把握することができます。
顎骨内にある親知らずの位置を立体的に把握することができます。
- 神経を引っ掛けてしまう可能性
- 周囲の炎症の程度
- 病巣の有無や大きさ位置などが正確に把握でき安全に治療ができます。また埋伏歯などの位置なども精密に判断できるので、余分な切開や骨の切削などを避けることができます。
歯牙移植
歯牙移植の症例
歯を失ってしまったときの治療法 歯牙移植
下の親知らずを上の割れてしまった7番目に移植
移植直後
歯牙移植
虫歯が大きくなって歯の根まで虫歯になってしまったり、歯が割れてしまったなどの歯の保存が不可能な場合の治療法です。
機能していない親知らずや埋伏歯を抜歯してしまった部位に移動する方法です。
移植なんてできるのと思うかもしれませんが条件を満たせばできます。
歯と一緒に歯根膜という靭帯組織を移植するため、インプラントや義歯よりも噛み心地がいいです。
歯の移植の条件
機能していない親知らずや過剰歯があること
機能していない歯の形が単純であること
その他の歯が歯周病ではないこと
年齢的に40歳ぐらいまでが適応(成功率が下がってしまうため)
歯の移植のQ&A
Q.健康保険は使えるのか?
A.ダメな歯は抜歯と同日でしたら健康保険の範囲内です。
抜歯と同日に移植の方が成功率も高いです。
Q.移植手術は痛みがあるのか?
A.麻酔をしますので術中の痛みはないです。
麻酔が切れたあとは抜歯と同等の痛みが伴います。
Q.期間はどのくらいかかるのか?
A.約三ヶ月くらいです。
Q.何才まで移植ができるのか?
A.40才ぐらいまでが成功率が高いです。
治療方法
①お口の清掃
②割れてしまったり、重度の虫歯を抜きます。
③移植し(親知らずや過剰歯)を抜き、移植します。
④縫合します、場合によっては矯正用のワイヤーで固定します。
⑤1週間後、糸抜き、消毒
⑥移植した歯の根管治療を行います。
⑦2~3ヶ月後被せものをします。
⑧定期検診